KEGG DRUG データベース

KEGG DRUG は、日本、米国、欧州の医薬品情報を化学構造と成分の観点から一元的に集約したデータベースです。KEGG DRUG のエントリは D 番号で識別され、治療標的(ターゲット)や薬物代謝など分子間相互作用ネットワークに関するKEGG独自のアノテーションが付与されています。KEGG DRUG からは日本と米国のすべての添付文書が医薬品の有効成分に基づきリンクされています (詳細は KEGG MEDICUS を参照)。

現在のデータ数 (2024/3/14)
医薬品(KEGG DRUG D番号エントリ)の数 12,367
標的分子を含む医薬品数 6,805
   標的がヒト遺伝子(産物)であるもの 5,547
   ヒト遺伝子(hsa ID)の数 1,206
   ヒト遺伝子バリアント(hsa_var ID)の数 53
日本の添付文書にある医薬品(有効成分)の数 2,263
   疾患との対応づけを行った医薬品数 1,573
   疾患(KEGG DISEASE H番号)の数 488
米国の添付文書にある医薬品(有効成分)の数 2,068
   疾患との対応づけを行った医薬品数 1,514
   疾患(KEGG DISEASE H番号)の数 485
特殊な医薬品
抗体医薬品 618
核酸医薬品 74
遺伝子治療薬 20
細胞治療薬 34

KEGG DGROUP データベース

KEGG DGROUP は、構造的・機能的に類似の医薬品グループとして KEGG DRUG の D番号エントリをまとめたものです。グループには以下の5つのタイプがあります。
  • Chemical - 塩や水和状態などの違い以外は同一の化学構造グループ
  • Structure - 類似の基本骨格などをもつ構造グループ
  • Target - 同一ターゲットに作用するグループ
  • Class - 作用機序などに共通性がある医薬品クラス
  • Metabolism - 薬物代謝酵素と薬物トランスポーターの基質・阻害・誘導に関するグループ
化学構造グループは、国によって多少異なる化学構造でも実質的に同一の有効成分として扱うために用いられています。


医薬品分類

KEGG では医薬品全体を様々な観点で分類し体系化しています。国や国際機関が提供する分類とともに、KEGGで独自に開発している分類もあります。

区分 分類 備考
医療用医薬品 (日米欧) 日本の薬効分類 JP18 (2021.6.7)
WHO の ATC 分類 ATC 2024 New!
米国 USP の分類 USP DC 2024
一般用医薬品 (日本) 一般用医薬品のリスク区分
一般用医薬品の分類
生薬等 (日本) 漢方方剤・生薬の効能分類 局方 (JP18)
局外生規 2018 (Non-JPS 2018)
生薬の由来に基づく分類
添加物 (日本) 医薬品添加物 薬添規 2018 (JPE 2018)
麻薬 (日本) 麻薬と向精神薬 令和5年9月8日現在



一般名と商品名

医薬品の一般名は国によって、また国際機関等によって異なります。同じ化学構造が違う名称になっていたり、同じ名称が違う化学構造になっていたりします。これを明確にするために、KEGG DRUG では名称の後に括弧内のコードを付与して区別しています。
  • JAN - 日本医薬品一般名称
  • USAN - United States Adopted Name
  • NF - National Formulary drug name
  • INN - International Nonproprietary Name
  • BAN - British Approved Name
  • DCF - Dénomination commune française
とくに日本と米国の医薬品についてはそれぞれ日本薬局方と米国薬局方に収載されているかの区別もされています。 JP18 は JAN の、USP は USAN の名称であることも意味します。さらに日本の生薬については
  • Non-JPS - 日本薬局方外生薬規格 2018
も含まれています。

さらに日本または米国に商品があるものに対しては、しばしば
<JP> <JP/US> <US>
といったコードが付与されています。

その他の関連データベース

KEGG DRUG/DGROUP と密接に関連したデータベースとして以下の2つがあります。

医薬品相互作用データベースは、併用禁忌や併用注意に伴う医薬品間の相互作用を我が国のすべての医療用医薬品添付文書から抽出し、KEGG の D/C/E/G/DG 番号で標準化したものです。 KEGG DRUG 構造マップは、KEGG PATHWAY データベースの一部で、医薬品開発に伴う化学構造変化パターンの知識をグラフィカルなマップとして表現したのものです。多くの医薬品がリード化合物や既存の医薬品を起点に構造展開を行うことで、すなわち基本骨格を維持しながら化学構造を変化させることで、新製品の開発が行われてきた歴史が集約されています。

Last updated: February 26, 2024