KEGG DRUG データベース
KEGG DRUG は、日本、米国、欧州の医薬品情報を化学構造と成分の観点から一元的に集約したデータベースです。KEGG DRUG のエントリは D 番号で識別され、治療標的(ターゲット)や薬物代謝など分子間相互作用ネットワークに関するKEGG独自のアノテーションが付与されています。KEGG DRUG からは日本と米国のすべての添付文書が医薬品の有効成分に基づきリンクされています (詳細は KEGG MEDICUS を参照)。
特殊な医薬品
現在のデータ数 (2025/10/24)
| 医薬品(KEGG DRUG D番号エントリ)の数 | 12,713 |
| 標的分子を含む医薬品数 | 7,163 |
| 標的がヒト遺伝子(産物)であるもの | 5,726 |
| ヒト遺伝子(hsa ID)の数 | 1,254 |
| 標的がヒト遺伝子バリアントであるもの | 162 |
| ヒト遺伝子バリアント(hsa_var ID)の数 | 58 |
| 標的がその他のヒトペプチドであるもの | 45 |
| ヒトペプチド(C番号)の数 | 9 |
| 薬物代謝酵素を含む医薬品数 | 1,363 |
| 薬物代謝酵素の数 | 57 |
| 薬物トランスポーターを含む医薬品の数 | 267 |
| 薬物トランスポーターの数 | 17 |
| 日本の添付文書にある医薬品(有効成分)の数 | 2,262 |
| 疾患との対応づけを行った医薬品数 | 1,611 |
| 疾患エントリ(H番号)の数 | 511 |
| 米国の添付文書にある医薬品(有効成分)の数 | 2,141 |
| 疾患との対応づけを行った医薬品数 | 1,599 |
| 疾患エントリ(H番号)の数 | 494 |
特殊な医薬品
| 抗体医薬品 | 618 |
| 核酸医薬品 | 82 |
| 修飾ペプチド医薬品 | 84 |
| 遺伝子治療薬 | 22 |
| 細胞治療薬 | 42 |
| 酵素補充療法薬 | 33 |
KEGG DGROUP データベース
KEGG DGROUP は、構造的・機能的に類似の医薬品グループとして KEGG DRUG の D番号エントリをまとめたものです。グループには以下の5つのタイプがあり、それぞれ DG番号で識別されます。
- Chemical - 塩や水和状態などの違い以外は同一の化学構造グループ
- Structure - 類似の基本骨格などをもつ構造グループ
- Target - 同一ターゲットに作用するグループ
- Class - 作用機序などに共通性がある医薬品クラス
- Metabolism - 薬物代謝酵素と薬物トランスポーターの基質・阻害・誘導に関するグループ
医薬品分類
KEGG では医薬品全体を様々な観点で分類し体系化しています。国や国際機関が提供する分類とともに、KEGGで独自に開発している分類もあります。
| 区分 | 分類 | 備考 |
| 医療用医薬品 (日米欧) | 日本の薬効分類 | JP18 (2021.6.7) suppl (2024.6.28) |
| WHO の ATC 分類 | ATC 2025 | |
| 米国 USP の分類 | USP DC 2025 | |
| 一般用医薬品 (日本) | 一般用医薬品のリスク区分 | |
| 一般用医薬品の分類 | ||
| 生薬等 (日本) | 漢方方剤・生薬の効能分類 | 局方 (JP18) 局外生規 2018 (Non-JPS 2018) |
| 生薬の由来に基づく分類 | ||
| 添加物 (日本) | 医薬品添加物 | 薬添規 2018 (JPE 2018) |
| 麻薬 (日本) | 麻薬と向精神薬 |
| 区分 | 分類 | 備考 |
| 新薬 | 日本の新薬 | PMDA |
| 米国の新薬 (英語) | FDA | |
| 欧州の新薬 (英語) | EMA | |
| 日本・米国・欧州の新薬 | Combined | |
| 医薬品グループ | 医薬品グループ | |
| 医薬品クラス | ||
| 医薬品名のステム (英語) New! | USAN, INN | |
| ターゲット | ターゲットに基づく医薬品分類 | |
| 抗微生物薬 + ターゲット | ||
| 抗微生物薬の略語 | ||
| 薬物代謝 | 薬物代謝酵素とトランスポーター | |
| 遺伝子バリアント | ゲノムバイオマーカー | |
| プロドラッグ | プロドラッグ (英語) | |
| その他 | ステロイド外用薬の強さ | |
| 日本のスイッチOTC薬 | ||
| 米国のスイッチOTC薬 (英語) | ||
| 日本薬局方収載医薬品 | ||
| 厚労省コード | 薬価基準収載品目 | 令和7年10月22日適用 |
一般名と商品名
医薬品の一般名は国によって、また国際機関等によって異なります。同じ化学構造が違う名称になっていたり、同じ名称が違う化学構造になっていたりします。これを明確にするために、KEGG DRUG では名称の後に括弧内のコードを付与して区別しています。
さらに日本または米国に商品があるものに対しては、しばしば
- JAN - 日本医薬品一般名称
- USAN - United States Adopted Name
- NF - National Formulary drug name
- INN - International Nonproprietary Name
- BAN - British Approved Name
- DCF - Dénomination commune française
- JP18 - 第十八改正日本薬局方
- USP - United States Pharmacopeia
- Non-JPS - 日本薬局方外生薬規格 2018
さらに日本または米国に商品があるものに対しては、しばしば
<JP> <JP/US> <US>
といったコードが付与されています。
日本と米国の商品
日本と米国の商品は D番号との対応づけがなされ、KEGG MEDICUS で統合化されています.
日本の商品は YJ コードで識別されます。これは厚生労働省の薬価基準収載品目につけられた12桁のコードを拡張したものです。厚労省コードは以下から構成されています。 薬価基準収載品目には商品名で収載された銘柄別収載品目と一般名で収載された統一名収載品目があり、後者に商品ごとに01のかわりに個々の番号をつけたのが YJコードです。KEGG では厚労省コードの最初の9桁部分を YKコードと呼び、D番号との対応づけを行っています。これまでは有効成分に対応したD番号と効能に対応したATC分類番号や薬効分類番号を用いていましたが、YK番号により投与経路、剤形、規格単位の情報も得られるようになりました。D番号あるいはDG番号の「商品一覧」のページには新たに「規格単位で並べ替え」のリンクがつけられ、規格単位ごとに先発品、後発品、AG (Authorized Generic) などを調べることができます。
米国の商品は FDA の National Drug Code (NDC) で識別されます。現在のNDC は 10桁の数字で、以下の3つの部分から構成されています。
日本の商品は YJ コードで識別されます。これは厚生労働省の薬価基準収載品目につけられた12桁のコードを拡張したものです。厚労省コードは以下から構成されています。 薬価基準収載品目には商品名で収載された銘柄別収載品目と一般名で収載された統一名収載品目があり、後者に商品ごとに01のかわりに個々の番号をつけたのが YJコードです。KEGG では厚労省コードの最初の9桁部分を YKコードと呼び、D番号との対応づけを行っています。これまでは有効成分に対応したD番号と効能に対応したATC分類番号や薬効分類番号を用いていましたが、YK番号により投与経路、剤形、規格単位の情報も得られるようになりました。D番号あるいはDG番号の「商品一覧」のページには新たに「規格単位で並べ替え」のリンクがつけられ、規格単位ごとに先発品、後発品、AG (Authorized Generic) などを調べることができます。
米国の商品は FDA の National Drug Code (NDC) で識別されます。現在のNDC は 10桁の数字で、以下の3つの部分から構成されています。
· 4-5 digits for labeler code
· 3-4 digits for product code
· 1-2 digits for package code
NDC は最初の2つの部分を用いて KEGG D番号との対応づけを行っています。
· 3-4 digits for product code
· 1-2 digits for package code
その他の関連データベース
KEGG DRUG/DGROUP と密接に関連したデータベースとして以下の2つがあります。
医薬品相互作用データベースは、併用禁忌や併用注意に伴う医薬品間の相互作用を我が国のすべての医療用医薬品添付文書から抽出し、KEGG の D/DG 番号で標準化したものです。 KEGG DRUG 構造マップは、KEGG PATHWAY データベースの一部で、医薬品開発に伴う化学構造変化パターンの知識をグラフィカルなマップとして表現したのものです。多くの医薬品がリード化合物や既存の医薬品を起点に構造展開を行うことで、すなわち基本骨格を維持しながら化学構造を変化させることで、新製品の開発が行われてきた歴史が集約されています。
医薬品相互作用データベースは、併用禁忌や併用注意に伴う医薬品間の相互作用を我が国のすべての医療用医薬品添付文書から抽出し、KEGG の D/DG 番号で標準化したものです。 KEGG DRUG 構造マップは、KEGG PATHWAY データベースの一部で、医薬品開発に伴う化学構造変化パターンの知識をグラフィカルなマップとして表現したのものです。多くの医薬品がリード化合物や既存の医薬品を起点に構造展開を行うことで、すなわち基本骨格を維持しながら化学構造を変化させることで、新製品の開発が行われてきた歴史が集約されています。
Last updated: October 23, 2025
